樹木は、1年経てば大きくなることは分かっているが、
本当に大きくなっているものか、また、一体どれぐらい大きくなるものか?
林業家は誰でも知りたい事である。
’15年も12月に生長を確認するための作業を実施した。
方法は山(林分)毎に5本の標準木を決めて、毎年12月にその胸高直径を
測定して、年間の生育記録を取っている。
以下に’15年の成長率を表示する。
調査法:各林分に以前から決めている標準木5本の胸高直径を
継続的に測定する。
標準木:各林分の東西南北と中心、または上下左右と中心と言う具合に標準
的な木を設定している。
結果:最近6年分を表示する。
林 分
1.寒作り 樹種 スギ
測定樹種 5本とも杉
調査 平均 生長
年月 直径 率
cm %
’10.12 29.7 1.8
’11.12 30.1 1.2
’12.12 30.4 1.1
’13.12 30.7 1.0
’14.12 31.0 1.1
’15.12 31.5 1.5
コメント:定植35~55年になり成長率が低くなっている。
平均胸高直径が30cmを越えて来たのでいつでも
伐採可能である
2.寒作り下 樹種 スギ主体一部ヒノキ
測定樹種 5本ともスギ
調査 平均 生長
年月 直径 率
cm %
’10.12 6.5 20.5
’11.12 7.4 14.7
’12.12 8.7 17.6
’13.12 9.5 9.2
’14.12 10.7 12.7
’15.12 12.0 11.4
コメント:まだ若木で生育は順調、枝打ちを開始した
標準木2本をクマに皮剥ぎされたが今のところ順調に育っている
3.二艘舟 樹種 スギ、ヒノキ
測定樹種 スギ3本 ヒノキ2本
調査 平均 生長
年月 直径 率
cm %
’10.12 18.8 2.3
’11.12 19.3 2.4
’12.12 19.8 2.6
’13.12 20.2 2.3
’14.12 20.8 2.6
’15.12 21.4 2.8
コメント:定植30年で生育は順調 平均胸高直径が
20cmを越えて来た
この林分の半分は高速道路に接収されるのは
残念である
4.姉ヶ平 樹種 スギ(主) 一部ヒノキ
測定樹種 5本ともスギ
調査 平均 生長
年月 直径 率
cm %
’10.12 26.1 1.5
’11.12 26.5 1.6
’12.12 26.9 1.4
’13.12 27.2 1.1
’14.12 27.6 1.4
’15.12 28.0 1.7
コメント:定植30~70年の木であるが、植え付け年代のバラつきが
大きく、若木の生育が悪い 部分的に土壌が痩せて、
乾燥地でありスギには不適当な場所がある
5.五郎四郎 樹種 ヒノキ
測定樹種 5本ともヒノキ
調査 平均 生長
年月 直径 率
cm %
’10.12 13.1 4.7
’11.12 13.8 5.4
’12.12 14.5 5.2
’13.12 15.1 4.1
’14.12 15.6 3.6
’15.12 16.2 3.5
コメント:定植20年で生育は良い 枝打ち、間伐を進めている
6.小田 樹種 ヒノキ
測定樹種 5本ともヒノキ
調査 平均 生長
年月 直径 率
cm %
’10.12 20.7 2.6
’11.12 21.2 2.7
’12.12 22.0 3.6
’13.12 22.5 2.2
’14.12 23.3 3.6
’15.12 24.0 2.8
コメント:定植30年 成長は順調である
枝打ちが出来ていない木がある
7.木部平 樹種 スギ
測定樹種 3本ともスギ
調査 平均 生長
年月 直径 率
cm %
’10.12 16.4 2.3
’11.12 16.7 1.8
’12.12 16.9 1.5
’13.12 17.2 1.8
’14.12 17.7 2.7
’15.12 18.1 2.3
コメント:ここは狭いところで標準木は3本だけである
定植37年であるが海風を直接受け生育は悪い
8.姉ヶ平下 樹種 スギ、ヒノキ
測定樹種ヒノキ3本 スギ2本
調査 平均 生長
年月 直径 率
cm %
’10.12 0.8 111.5
’11.12 1.7 100.2
’12.12 2.5 51.6
’13.12 3.6 40.6
’14.12 4.9 37.3
’15.12 6.3 29.2
コメント:’07年に植えたばかりであるが一斉に力強く生育を開始した
ここも高速道路用地として接収される部分が2/5ほどある
9.巨木 樹種 スギ
測定樹種 2本ともスギ
’13年まで2本の巨木も測定したが直径70cm以上に
なると一人では正確に測定できないので、’14年から
やめた
山林の樹木という物はあまり成長していないように見える。 特に自分の山は
欲目で見るので他人の山より生育しないように感じる。 しかし、実際には
測定してみると確実に生育している事がわかる。
測定することは山林の持ち主の喜びを確認する時でもある。
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